6月26日に9回目のレジデイが開催されました。今回は二回目の緩和ケアレクチャーです。
がん疼痛へのアプローチ、呼吸困難へのアプローチ、悪心嘔吐へのアプローチ、オピオイドの使い分け、神経障害性疼痛と薬物療法について予め班員でスライドを作りお互いに発表しました。
いろんな切り口からの発表があり勉強になりました。
また柏木先生からは課題に取り組む上で出てきた様々な臨床疑問について、実臨床・スタディに基づいて説明してくださいました。
ケアの一環で人の苦労をどう捉えるかを学ぶため、レジデイ後半ではスピリチュアルペインについて講義がありました。
スペリチュアルペインとは、生きている意味や目的について関心や懸念と関わっている場合が多く、存在と意味の消滅から生じる苦痛を伴えばスピリチュアルペインが存在するそうです。
「ありたい姿を現実とのギャップで苦しむ」とおっしゃられていたのが印象的でした。
スピリチュアルペインの乗り越え方については以下のように教えていただきました。
「人は三つの支えを必要としている。
将来の夢(時間性)
支えとなる関係(関係性)
自己決定できる自由(自律性)
の三つである。
癌など病気になると時間性の柱が失われる、その場合は家族や医療者のサポートなどを通して自律性や関係性の柱を太くしていく。
また死を超えた未来の確信ができると時間性の柱は再び現れる。」
この文面だけだと少し分かりにくいので象の背中というお父さんとの死別を描いた動画を視聴しました。
動画の中では死を目前にしたお父さんが告知を受けた後、家族との時間を大切にし、今までの人生を振り返り、もし自分が死んだとしても自分と関係した方たちや環境が望んでいるものであるだろうと思えた(=死を超えた未来の確信)ため、時間存在の柱が復活していき笑顔でこの世をさったというような内容でした。
過去から今を振り返ることで現在の意味を取り戻すことができるということを教えていただいたので、今後はスピリチュアルペインを訴えておられる方のケアにあたる時は、場合によってはこれまでの人生について聞くなどをして時間存在を取り戻すお手伝いをしていきたいと思いました。
文責 S1 鎌谷淳代