6月19日のレジデイの様子をお伝えします。
前半は伊藤龍一先生の栄養療法についてでした。
まず、総論では栄養療法の組み立てる順序として
①栄養スクリーニング→②栄養アセスメント→③栄養管理計画の立案→④栄養管理の実施→⑤モニタリング、治療効果判定→⑥治療終了の順で行うことを心掛け、その中でも管理計画を立案する際には
1.エネルギー総投与量の決定
2.総エネルギーに対する3大栄養素の割合を決定する
3.NPC(Non Protein calorie)/N(Nitrogen)
4.水分、電解質投与量の決定
5.ビタミン、微量元素を追加
6.栄養投与方法の決定
を意識し、続く各論では各栄養投与方法の適応や禁忌、薬剤の選び方、注意すべき合併症(Refeeding 症候群やセレン欠乏等)を学びました。
栄養に関して今まで系統だった講義を受けたり学ぶ機会もなく漠然と、雰囲気で治療を進めていくばかりでしたが、今回のレクチャーを経て自信を持って今後の治療に繋げていくことが出来そうだと感じました。
レジデイの後半では「不確実性」について学びました。
まず、なぜ我々総合診療医は不確実性を知る必要があるのでしょうか?
それは
•個別ケアの実践そのものが不確実性の高い中で行われる
•不確実性を認識して積極的に関わることが家庭医・総合診療医には求められているから
なのです。
不確実性というのは、既知の可能性のある有害事象がどれくらいの確率で発生するのかが分からない時に発生し、具体的にどのようなものが不確実性に挙げられるかと言うと
•技術的不確実性:医師自身の知識不足や情報不足によって発生確率を予測できない
•人的不確実性:不信感があり解釈モデルを含めて情報伝達が不正確になる
•概念的不確実性:複雑性が高く一般対応困難、経験を生かせない
といったことが挙げられます。
ただ、不確実性は必ずしも私達に害ばかりを及ぼすのではなく、不確実性を通して我々医師が自分自身を見つめ直すきっかけになったり、不確実性を共有することで、より深い医師-患者関係を築くチャンスとなったり、自分自身の引き出しを増やすチャンスにもなってくるのです。
私達が医療の不確実性に対応していくにあたって大切なことは医師と他職種、患者との対話が不可欠であり、その為には
•自身の思考を分かりやすく伝えること
•解釈モデルの確認とそれに対しての説明
•問題点の共有
•治療プランの優先順位をつけ、患者の理解と遵守する意思を確認する
ことが大切であると学びました。
日々の業務に追われ、定期外来で自分のかかりつけ患者さんも数ある中の1人として接してしまいがちになりそうですが、患者さんにとって我々は唯一の主治医ですから本日学んだことを念頭に置いて日頃から対話を重ね、患者さんと共に医療の不確実性に対応出来るようにしていきたいと思いました。
文責 S1 堀