11月27日のレジデイは5ヶ月ぶりとなる飯塚病院の柏木先生による緩和ケアレクチャーの第3回目でした。
今回は予後予測とせん妄についてワークショップを行い、その後S2の金杉先生の症例に対し、ケースディスカッションを行いました。
医療者が想定した予後と実際の患者さんの予後が乖離してしまう経験をみなさんされたことがあるのではないでしょうか。なぜそのように不確定な予測をするのでしょうか。それは臨床的な決断は患者さんの予想される予後とのバランスのもとに成り立っているからです。長く関わっている患者さんでは変化に気付けないこともありますが、日常の診療の中で患者さんがillness trajectoryのグラフのどこにいるのかを定期的に振り返るのが大事だと学びました。
続いてせん妄についてです。驚くことに終末期の患者さんの実に90%が亡くなる3日前にせん妄を発症するそうです。「〇〇さん昨日からちょっと様子がおかしくて」と報告を受けたことも多いと思います。入院患者さんの一般的なせん妄とは異なり、終末期せん妄は回復可能でない場合も多いです。絶対に治療をしないといけないものではなく、本人や家蔵の苦痛を考慮しながらの対応が大切です。ここでもやはりどれくらいの予後があるのか考えることは不可欠です。
最後はS2の金杉先生に在宅での膵癌終末期の患者さんの症例を提示いただきました。在宅では病院とは異なり患者さんのケアの大部分を家族さんが担うこととなります。どうしても医師としては患者さんの医療的なケアに目が行きがちになってしまい、家族さんに対して十分なケアが行えないことも多いのではないかと思います。そのような時こそケアマネさんや訪問看護師・ヘルパーさんとの密な他職種連携が大事になると感じました。
今回のような症例提示を通して、緩和ケアという定まった答えのない領域で悩んだ経験をシェアしていくことができ、より学びを深めれると思います。
多様な学びの得られるレジデイに興味のある方はぜひお気軽にご参加ください!
文責 S1 野口