私たちは日々総合診療医として働いています。
診療の対象となるのは患者さんの病気だけではなく、患者さんの生活全て、もちろん患者さんの家族も対象になります。言葉でそう言ってしまうことは容易いですが、実際に病で困っている本人だけでなく、各々のご家族のニーズにも応えることは本当に難しいことです。
本日11/20のレジデントデイでは、三重大学にて家族療法を専門としてご活躍されている若林先生にお越しいただき、家族志向のケアについて教えていただきました。
患者さん一人一人には家族がいて、様々な形で関わっています。時には治療方針やどこで暮らしていくのか、色々な選択の中で家族間で意見が異なることがあります。私たちはそのような時は家族の方と本人にしっかり話し合っていただき、あくまでも本人に最終決定権があるとお伝えしています。また、ご家族の中でも直接連絡させていただく方はキーパーソンとして特別に把握させていただいています。若林先生の講義では、キーパーソン以外の家族も含めた関係性、役割、外界との関わり、信念、関心の程度などを深く理解することが患者さんと家族のニーズを満たす手掛かりになると教えていただきました。また、本人だけでなくご家族も交えたカンファレンスを行う上でのポイントもわかりやすく教えて下さいました。後半では同期の先生が実際に経験した症例を基に、なぜ家族のニーズに応えられないのか、どうすれば満足のいく結果が得られたのかについて検討する時間もあり、改善策を議論する有意義な時間となりました。
繰り返しになりますが、自分たち総合診療科にとって家族志向の考え方、診療は欠かせないものです。同じ仕事をしている以上、多種多様、十人十色の患者さんと接することになります。その中で少しでも患者さんと家族、全ての方が納得できる診療ができるようより一層意識して努めていこうと思います。
文責 S1 青山幸右