12月25日のレジデイでは飯塚病院の柏木秀行先生に人生の最終段階のケア「悪い知らせを伝える方法」についてレクチャーいただきました。内容についてまとめさせていただきます。
前半は「鎮静」について学びました。患者のせん妄、呼吸困難、精神的苦痛、疼痛などの苦痛に緩和ケアを行っても、十分に緩和できないときはじめて鎮静が考慮されます。苦痛が疼痛であれば、まず鎮静より鎮痛からということですね。終末期のQOLの質問紙調査では、「患者の意識が明確であること」が医師が65%に対して患者の92%で重要と考えられており、慎重に適応を選ぶ必要があります(PMID: 11074777)。適応が適切であれば生命予後に影響を与えないようでした(PMID: 26610854)。ミダゾラムの具体的な使用方法についても学びました。ミダゾラムを1mg/h(生食100mL+1Aなら10ml/h)で持続皮下あるいは静注を開始し、必要に応じて早送り、15~30分後にSTAT≦2を目標にコミュニケーションを取りながら用量を調整するという方法でした。ただし、実践には医療安全上euthanasiaにならないよう記録と多職種のカンファレンスを経る必要があります。
後半は、「悪い知らせを伝える方法」です。我々は「伝える」ことにフォーカスしがちですが、目的は「つらい現実に直面している患者に対し心理的なサポートを提供し、難しい意思決定を支援すること」です。そのためにはAsk-Tell-Askで伝えるよりまず「ご心配を教えていただけますか」などAskに集中し、SPIKESモデルの構造に従って説明の準備をしたり、SHAREスキルを使って相手の感情にしっかりサポートすることが重要ですね。私も相手の感情を発散させずに説明ばかりして、結局頭に残らない説明をしてしまった経験があり反省いたしました。
日々の臨床に活かしていければと思います。柏木先生、お忙しいところ誠にありがとうございました。
文責 S1 鈴木