11月6日のレジデイの様子をお伝えします。
今回は「illness-narrative(病の物語り)」について学びました。
まず、なぜ我々総合診療医は病の物語りを知る必要があるのでしょうか?
それは
•病気というエピソードは、患者の人生という物語における重要な節目となる
•医師や看護師はしばしばこのような人生の節目の出来事における立会人の役割を担うから
なのです。
しかし、現代では人生の節目でなく、病気の事実という側面が重視されるようになるあまり効率的に医学・生物学的情報を収集する問診(history taking)に重きが置かれ、患者-医師間で作り上げる医療面接(medical interview)が疎かにされている一面があります。双方向ではなく、一方向の対話が為されることで患者満足度が低下し、時には医療訴訟にまで発展するケースも出てしまっています。
物語を聞くことは
①診断的面接
②治療の過程
③患者•医療従事者への教育
④研究の観点
からも我々にとって非常に重要であり、
例えば、診断的面接では患者の解釈モデルの言語化・翻訳、医師と患者間の共感と理解を促進し、
治療の過程では物語を聞くことでそれ自体が治療や緩和に繋がる患者のメタ認知が進む可能性があり、時にそれは治療上の新しい選択を生み出したりする可能性が生まれる、といった効果を期待することが出来ます。
日々の業務に追われ、定期外来で自分のかかりつけ患者さんも数ある中の1人として接してしまいがちになりそうですが、患者さんにとって我々は唯一の主治医です。本日学んだことを念頭に置いて日頃から対話を重ね、患者さんと双方向性の対話を意識して物語に耳を傾けられるよう努めて参りと思いました。
文責 S1 堀